第十九話「錯綜の悠二」

 悠二ががんばりすぎて混乱したり、吉田さんが三角関係を都合よく解消できる(作者的に)アイテムのことについて得心したり、悠二ママが体調を崩したり、いかにも前座という風情の「一にして五、五にして一」な敵が出てきたり、田中と佐藤の話がまるでゲイの痴話げんかのようだったり、オガちゃんがなんとなく可哀相に見えてきたり、という話。大詰めに向けての布石と序盤戦という感じですか。
 シャナや吉田さんが怒っている悠二の勝手さというか本人は気遣いと思ってる傲慢さの発露については次回以降きちんと片付けられるだろうからいいとして、視聴者的にはそもそも悠二の考えてることがよくわからないのが一番の問題に思えます。作劇上の立場としては、視聴者と物語を仲介する、いわば窓口のキャラであるのだけど、自分がトーチというまがいものにしてかりそめの存在であるという事実といかに折り合いをつけるかという彼個人の悩みが視聴者にはまるで自分と関連づけて考えられないことであるため、視聴者の共感をシャナと吉田さんのどちらを選ぶかという青春小説的な側面からしか得られず、しかし物語の上ではそれは副次的かつほぼ問題ではない(吉田さんは選べないからね)せいで投影の軸心にはなりにくいまま、という、ひらたくいってとりつくしまのないキャラになってしまっているのだ。よそよそしいのはバルマスケの皆さんと乱舞する固有名詞だけではないのである。だから、五人組のトモガラなんていう、「明智十人衆」などというネーミングだけで喜んでしまうような精神年齢の低い人間のハートにジャストヒットなキャラが襲来してもどうにもこうにも盛り上がらない。
 まあ、この敵にかんしては、マッドサイエンティストやらマルコシアスなんかと同じくどいしゃべり方でキャラ立てを狙うやつなので、またか、と思ったせいはあるだろうけどね(元が活字媒体であるが故に、言葉で特徴を作るキャラが多いのは詮無いことかもしれないが)。
 次回せめて視覚的に楽しいバトルが見られることを期待しつつ。