第一話「緑の座」

 ずっと気になっていた作品だったのだが、第一話を見損ねてしまったことでふてくされ、二話以降を録画しただけで放置していた一品。このたびDVD第一巻をゲットした(新品だが安かった。二千六百二十五円でお店の割引も利いた)ので、年末特番ラッシュで生まれたアニメのエアポケット状態を利用して視聴開始。ちなみに原作は知りません。アフタヌーン系の漫画は、主人公の男のキャラ絵を見た段階で読む気が失せることが多々あって、これもそのひとつでした(自家中毒的な主人公愛と半端な突き放しのアマルガム――的な雰囲気とでも言うのかな。あってるかどうかは読んでないので知りませんが)。

 というわけで、『蟲師』に関する知識は、なにやら公表だ、というのと、ここのところ劇場でよく見るオダギリジョー大友克洋の映画版の予告編のみである。
 で、どうだったかというと――

 素敵でした。

ギンコの声が飄々とかマイペースを越えたただの下手な棒読みだろうとか、ずいぶんと昔の話のはずなのにOPが英語の歌ってなによとか、いきなり突っ込みどころというかいちゃもんを付けたくなるところがあったりもするのだけど、美麗な映像と端正な演出、異界の者を描出するセンス、そして冬目景の漫画から抜け出してきて、より可愛くなったようなレンズばあちゃんと、アニメを見る快楽とでもいえそうなものをここまで並べられて、文句が出るはずもない。

 お話としてはオーソドックスなゴーストハンターもののフォーマット(片目を隠したギンコがゲゲゲの鬼太郎を彷彿とさせるのは偶然ではないはず。そういえば煙草の吸い方が夢幻紳士ふうな気もする――これは偶然かもしれないが)で、ただし相手は「怪異」ではなく、「蟲」というオリジナルのギミックであり、それはひらたく言うと「自然の神秘」そのものであるというのがミソ。恐怖ではなく畏敬を持って対峙する相手である、ということですね。
 だからどこまでも美しく、粛々と物語が進行するのだろう。夢幻的なレンズを通してみたNHKの自然番組みたいなものである。言ってみれば自然萌え、世界萌えアニメプラネットアース
 
 もちろん、そこはアニメである世俗的な萌えもある。すでに書いたように、レンズばあちゃんは強力すぎ。今回限りのゲストキャラにしておくにはもったいない。ストーリーに無関係でいいから時折あの山中を映してくれないものかね。

なんにせよ、正月の楽しみがひとつ増えました。わーい。って、二十話までしか録画してないか(フジがそこで打ち切っちゃったからね)。買うしかないのか? まあDVDの画質で見たほうがいいような作品ではあるし、ゆっくりそろえていけばいいか。
 そういうわけで、不定期ながらこれからは蟲師の感想もやるので、よしなに。