第二話「うたかた」

拉致監禁、強姦、殺害、遺体投棄と悪夢としかいいようのない運命に翻弄された妹の恨みを姉がどう肩代わりして晴らすか、というストーリー上の問題に加えて、死んだと明確でないがまず死んでいる失踪者を残されたものがどう「待ちつづける」かということを問う重くシリアスな一篇――
 だったはずが、願いを聞き届けたあたりからいきなりギャグアニメになってしまった。ハムラビ法典式に、妹と同じ運命をたどらせて苦しませれば、ドラマ的には問題ないはずだが(強姦の再現は方向コード的に無理だが)、なぜか犯行と直接関係のない能舞台やら水車やらでおちょくるようないじめ方をするのだった。というかただもうスタッフが地獄チームにコスプレをさせたいだけのような気もしないでもない。

ただし、カタルシスゼロかというとそうでもなく、とどめの「流し」のシーンでは、前回の毛虫に続き、被害者の恨みを最も象徴する要素が体内からあふれるパターンで採用されており、どうやらこれが今回のフォーマットになる模様――前シリーズでの大きな不満点だった「復讐不足」への解答のつもりなのだろう。
でもまだぬるい、というか、同等かそれ以上の苦痛を与える路線を突き進めると行き着くところは虐殺なので――復讐とはようするに大儀ある拷問に過ぎない――、苛烈を極めるわけにもいかないのである。視覚的に毎回趣向を凝らさなければならないとなったら、特にやりすぎには気をつけないとならないだろう。地獄劇団はいくらエスカレートしても楽しいばかりだけど、「復讐」は流しの場面ぐらいの過激さがぎりぎりのラインであるのかもしれない。

シナリオ面で少し気になったのは、地獄通信での依頼が、まったく知らない相手でも攻撃が可能なのはちょっとやりすぎなのではと思う。デスノートのような厳密性は必要でないのはいいとしても、、姉に憑依した妹が打ち込んだ文面に従って地獄チームが動いた、としたほうが、下手なルール拡張にならずによかったのではなかろうか。