第十七話「沈黙のまなざし」

親の因果が子に報い、というか、親子で地獄流し志望、という話。そこに一目連の過去が絡む、と。
 その一目連の過去である冒頭の時代劇パートはちょっと微妙。戦乱の世で百年間使われ続ける剣ってあるのか、とか。そもそもいつの時代なんか、とか。よくわかりません。

 話のほうは珍しく藁人形を渡すところから始まり、依頼を受けてから依頼人の動機を探るという、描写的にも構成的にも地獄チームの視点で話が展開。そこで冒頭の状況が明らかになっていくわけだが、親殺しを願う娘の真意がその段階ではっきりさせず、彼女をそそのかすさらなる悪を出して真相とするのは、いささか安易な気もしないでもない。
 そこまでをじっくり引っ張ったせいか、終盤の展開はかなり駆け足かつ強引で、特に岩男潤子の母親が死を選ぶことになる流れは苦しい。娘から父親を奪った罪の意識がそれを無知からとはいえ娘から指摘されたこと、そしてそのために娘が自分と同じ業を背負いそうなこと、そういう積み重ねが彼女の生きる意欲を押しつぶした、と一応、理屈は通っているのだが、感覚的には納得しづらい。親子愛っていうのはそれこそ「理屈じゃない」ことなのではなかろうか? 悲劇のための悲劇も結構だが、それならばもっと娘を捨てて去るに足るような母親の内面へ切り込んで欲しかったところ。
 「すべてを見続ける運命」の一目連の現実への「介入」が自分がしてもらえなかった「見せない」だったのは、よく出来ていた。といって、そこにいたる展開の苦しさが糊塗されるわけでもないけど。

 それにしても、岩男潤子は久しぶり。『舞乙-HiME』以来か? もっと出て欲しいなあ。メジャーでCDも出して欲しい。

 最後の地獄チームのおしゃべりは微笑ましい。愛ですな。いろいろな意味で。
 キクリはついに地獄チームまで誘惑するようになったが、一体何者だ? 単なる目付けや見習いではなさそうだが……。