第一話「コクハク」

 TVKアニメ五連発の大トリが、佐藤竜雄最新作。脚本がコードギアスで大きく名を下げた大河内一楼なので、不安も結構あったのだがギアスの人でなくて「ルリの航海日誌」の人とおもうことにして、期待をかけていたのです。
 しかしこれは現時点では判断が出来ない。
 もちろん、見たわけだから感想をいうことはできる。それもひとことで言うことができる。「不快」と。性的虐待(としかおもえない)や陰鬱な展開そのものの不快さだけでなく、そういうネタを萌え系のビジュアルと演技の作品で取り扱おうというコンセプト自体への不快さ、だ。こういうの、そろそろやめようぜ。
 しかしこれはあくまで今回を見た限りの感想であって、作品全体の方向性がはっきりしない現在では、これをもって「判断」することは難しい。可能性は微小でも、今回ほのめかされたように見える事柄はミスディレクションの産物であるかもしれないし、オチまで見れば、題材の選択が単なるセンセーショナリズムではない必然性があることがわかるかもしれない。「隠すものも失うものも何もない死者の最後のメッセージ」とは、言ってみればその人間の本質であり、たんなる復讐心を――いち個人とはいえ――その本質として規定するということは、人間観としてはいささか安易過ぎるから、もう一段奥行きがあることは期待してもいい気がするのである。地獄少女のように人間観は素朴化、様式化して、もっと別のものを見せるという方法論ではおそらくこの重さを支えきれないだろう。地獄少女にしても、最終的(第二期まで、ということだが)に躓いたのはそのあたりの読みの甘さによるのだ。
 さてどうなりますことやら。やっぱり『ギアス』の大河内脚本ということなのかなあ。映像作品としてのクオリティはまずまずなだけに、内容がそれに伴えば、かなり破壊力のある作品になりそうではあるのだが……。