第二十二話「帰ってこないヨッパライ」

 どうやら今期限りで終わってしまうらしい。今回を含めてあと四回だそうで。ううむ。寂しい。これからが「収穫のとき」だったろうに。
 特に今回のような充実した回を見てしまうと切にそう思う。これを足がかりにさらに大きく展開していくことは容易に想像できるもの(気負いすぎてこける可能性もありそうだけど)。

さて、このたびのお話は、あやかしあやしとりものさわぎ、とでもいいたくなるような悪乗り気味の濃厚なスラップスティックコメディと、「天保異聞」の名にふさわしい重く暗く含蓄のある悲劇のブレンド攻撃である。
 当初の予定としてはおそらく前半の山場にむけての箸休めとネタふりの合わせ技回だったのだろうが、まるで散華に向けての明日なき暴走のように見えてしまうのが悲しい。
 
 正義という観念の相対性、世界/国家というものが簡単に壊れるものであるという現実認識(このあたりは鳥居たちの行動原理の端緒であるのだろう)、再び逃避先として提示される異界、狐軍団の暗躍(のはじまり)と、重層的なテーマを孕んで進行するアトルサイドのエピソードとぎりぎり最後になるまで交錯しない宰蔵や往壓たちの各種お色気とお笑い交じりの酒難騒動(テーマ的には、酒はある意味異界への入り口ともいえるので無関係ではないが)。テーマを問答で垂れ流すだけとか、ただ空虚にどたばたするとかでない絶妙のバランス、あえて白黒つけないオチも含めて、それこそ杯に並々と注がれたお神酒のような、破綻すれすれで作品の体を保っている佳品でございました。

 にしてもこのタイトルは浮いとる。