第二十話「キュウシュウ戦役」

ギアスよりも新型マシンが沢山あれば何とかなるぞ、という話。いや、たくさんどころか「ふたつで充分」ですね。

今回は対ブリタニアではなく、見るからに雑魚っぽい旧日本政府残党とそれを利用して進出を図る中国との戦い。自滅覚悟で突貫するスザク(こいつは本当に国と世界を正したいと思ってるのか?)はともかく、黒の騎士団の要諦であるゼロがのこのこ敵陣に顔を出していいのかしらん。それもブリタニアからかっぱらったロボで。ブリタニアが『わが軍が誇るランスロットとガウェインで敵を制圧』と喧伝したら手のうちようがないじゃん。ネットだの口コミだので実はガウェインには……とか「本当の情報」を流したって、せこい手柄泥棒にしか見えんぞ。
もっともこれはブリタニアもどうやらゼロ並に広告戦略が下手そうなので問題ないのかもしれない。浅知恵対浅知恵なら、拮抗した戦いができる、という、性質の悪い嫌味だったりして。

ルルーシュがガウェインの運転をCCにまかせきりでふんぞり返っているのは、ビジュアル的には強烈にダサくて笑えるものがあるが、(設定上は)戦略の天才、実務は半人前というをよく示していて、いいアイディアである。
 今回のもう一つのポイントはユフィーとスザクの関係が密になるところだけど、先頭のさなかにプライベート回線を開いて(許可を出すほうも出すほうだが)、ストロベリートークもどきを仕掛ける皇女はやっぱりお飾りにしておくのがふさわしい気がする。先祖(?)のグウィネヴィアもまあ似たようなものだから、その故事に習ったといえば、聞こえがいいが、これは古典のアニメ化ではないわけで、もうちょっと賢いキャラにはできなかったのかね。あの場で、スザクに生きて戦う理由を与える展開が不可欠だったにしてももっとクールなやりとりにできたようにおもうのだが、ニーナ(皇族の車に特攻)なんかの動かしかたを見ても感じることだが、やっぱり、「女は感情で動く」というようなありきたりの枠組みでしか話が作れない――キャラクターを構想できない――のだろうか。しかしますますユフィーが「王を裏切る」展開が近づいてきたような。

シャーリー関係は、記憶がある時点では誰にも言うべきでないと認識していたはずのルルーシュの秘密を事細かにノートに書いてあったとか、それが「偶然」誰にも見つからないところ転がっていたとか、そしてそれを「偶然」書いた本人が見つけたとか、限りなくギャグなので、もはや、批判するのもためらわれる世界である。ギアスによる記憶抹消操作の効果が、ルルーシュがマオ戦で証明したように、上書きデータと異なるデータの出現によりあっさり効力を失う、という設定がどこかにいっていることぐらい、些細なことである。

ギャグといえば、ゼロの独立国構想もギャグっぽい。海江田艦長のヤマト国より実効性が薄そうだぞ。ちっちゃい組織ですら、まともに掌握できてかったし(中田譲治とか京都の後ろ盾がなかったら、とっくに潰れていた可能性大)、いまだせこい恫喝ばかりで、部下を酔わせるビジョンを提示できてない時点で、『TOKYOTRIBE2』のスカンク以下のリーダーシップしかない気がする。「ゼロ」はその格好にしても、ギアス能力からしても、――久しぶりに引き合いに出すが――『Ⅴフォーヴェンデッタ』のVとかバットマン(フランクミラー版を除く)とか、そして言わずもがなのキラと同系の「孤独な革命家」タイプなのだから、あくまで影に潜み、指令のみで騎士団を操って成果をあげるというほうが、「反逆」というコンセプトからしても良かったんじゃないかなあ。まあそれだと今みたいなへっぽこ作戦ばかり出しているわけにはいかないけども。
さて、国家建造だの、大規模戦闘だのではまず何の役にも立たないギアス設定を今後どうするのか、興味ぶかいところではある。まさかパワーアップ?

時に伝説における、ガウェイン卿というのは武芸の面ではラーンスロット卿には劣るものの、忠義に厚く、文字通り死してなお、王への献身を忘れなかった騎士。ラーンスロットとは彼に弟を二人を殺されるなど、因縁の関係にあった人でもあるが、最後には和解する。うーむ。あっているのようであってないような。
まあ、死後にいく理想郷たるアヴァロンを単なるベースシップの名前にしているぐらいだから、アーサー王伝説ネタはけっこう適当なのだろう。超兵器エクスカリバーとか巨大戦艦マーリンとかスザク用新型機ガラハッド(あるいはパルシファル)あたりは余裕で出てきそうだな。