第十一話

第二セレクションの結果発表とパジャマパーティーと志水の意外な日常と土浦の隠れピアニスト人生の暴露と月森のさりげない日野さん攻略の開始と日野さんの火原と柚木を連れてのショッピングと、ある人物のでっかいダークサイド、という話。

ようするに前回の後始末と新展開の布石ということである。しかしそれだけではない。

冒頭、いきなりのお泊り会から視聴者を殺す気満々。
キャラ的にいまいち立ちにくい冬海さんクローズアップ企画でもあります。その結果、なにか、志水と似たやり過ぎぽややんキャラになってしまったような気もしないでもないが、このくだりはともかく和む。
とはいえ、魔法という偽りによる高評価が日野さんを悩ませる、という、今後ますます重要になってきそうなファクターの提示は忘れないのだが。

土浦はなんだかんだで毎日ピアノをやっていたのでありました。まるで前回の突っ込みへの回答のようである(そういえば前もこのパターンがあったな。ずぶの素人が気づくような疑問はさすがは放置しないということか)。
今回初登場の志水の家が普通の日本家屋なのは、ちょっと面白かった。志水のキャラにまったく動じないおばさんのキャラもいい。頼まれていた本を、取りおかない図書委員はちょっとどうかと思いますが、土浦その他に日野さんの寝顔を見せるためにわざとそうしたのでありましょう。メイン五人の男どもの中で、土浦が一番眼福にあずかっていますな。さすがに争奪戦一番手。まあ、キャラ的にも一番まともなのは土浦なので(月森は超迂遠な激励ぐらいでは、水をあけれられるばかりであるし)、このまま首位で終わってもいい気がしますが、無理だろうなあ。

志水柚木を引き連れての買い物イベントは、男が目立ちまくりで、照れつつも内心誇らしいというお約束のお約束である。しかし結局志水は何を買ったのだろう(見落としたかな?)。

とまあ、時折シリアスな通奏低音に気づかせつつも、のほほんイベントの羅列で終始するはなしと思ったら、ラストでサスペンス! てゆーか驚天動地?
 
柚木先輩である。
ストーリー的にはどこまでも天衣無縫(のように柚木などには見えている)でモテモテな日野さんにキレた、という場面なのだが、どうみてもスイッチが入って別人格が覚醒したようにかみえません! じつは柚木先輩、今回が初犯ではなく気に入らないやつを蔭でボコっていたりするのだろうか? 過ぎたるはなんとやらで、もはやギャグである。もっとも、スタッフもその辺はわかっているのか、次回予告では思いっきり茶化していたので、大仰に盛り上げて終わったわりに、案外、軽く流されそうでもある。さてどうなりますやら。
 
あと、音楽関係の話題ふたつ。兼ねてよりOPのKANONなる人の歌がなにかエキセントリック・オペラというグループを連想するなあ、と思っていたのですが、あちらと同じくこちらもクラシックモチーフでやる人だったのですね。
そして、これは個人的にものすごーく気になっていたことで、なにかというと、EDのステラクインテットの歌の最後のほうの「風に舞いながら」(詞はうろ覚え)のメロディラインを「絶対別のバンドの曲で聞いたことがある!」と第一話以来思っていたわけなのですが、このたびついに判明! 筋肉少女帯の「さらば桃子」(アルバム『レティクル座妄想』収録)の「来世など無く」のところでした。パクリとかそういうのではなく単なる偶然の一致だとは思いますが、持っている人は聴いてみよう。