第二十二話「俺たちのカデンツァ」

ゆのっちとリリがいないとなんとなく寂しいのだー。
と書けば読んだ人の頭の中でちゃんと水橋かおりの声で再生されると思うのだ。

というのはともかく、前回の予告であったように例の楽器店で土浦に続き月森の恥ずかしいビデオ発掘という話でもある。さらに合わせて火原がトランペッターの道を歩む一押しをしたのも同じ店であったという、なんかけっこう凄い店である(余談ながら、火原の聴力は異常。犬ですかあれは)。
さて、恥ずかしい過去が暴かれてしまったれんくんはまた一つ人間への道を歩もうとしているのだった。残念ながら、このペースでは色恋沙汰はまだ遠く、シリーズが最終回を迎えるまでに、思春期に辿り着けない気がしますが。

一方、天羽さんのアナログカメラ話をまくらにいきなり本格的にメインにでてきたかなやん。女心の歌を聞いての、あのうろたえようは、もしかして彼がうたったのだろうか? あれはリゴレットにおける屈指の作(ヴェルディのアリアの中でも代表曲のひとつだし)で、その甘美なメロディがクライマックスではもっとも残酷な宣告になる、恐ろしい曲だが、単純に歌としてみると、あれは「女とは風に踊るもの」――女心は移り気だから、と自分の放蕩生活を正当化するタラシの歌である。なんか、かなやんのキャラとは違うような(あの回想時代はそうでもなかったかもしれない)。あるいは歌詞やオペラの内容とは無関係に、たんに楽曲としてなにか思い出があるってことなんだろうか。(ひさびさにリゴレットのCDを出してきて聞いたけど、やっぱりいいですね、これ)
それ以上に謎なのは、今頃かなやんをメインにする余裕があるのか、ということですが。

終盤のメインは、なんといっても土浦による日野さんへの言葉攻め。おまえの犬になる、じゃない、音叉になるとか、おまえは俺にとってのパガニーニだとか。以前の言葉攻め大臣であった柚木の旦那が、攻めているようで実は攻められることを期待していたのとはまるで逆で彼は正真正銘攻め一辺倒。今までの数々のスキンシップや各種窃覗行為と同じである。そして日野さんはわりと押しに弱い!
 コンクールをどうするかも気になるが、こちらはさらに気になるところである。