第九話「リフレイン」

ううむ。中盤の物語の肝かと思えた黒の騎士団による人心掌握を、「これまでのあらすじ」形式で消化するとは。さてはルルーシュと騎士団の雄姿を描くうまい手が考え付かなかったな。やってることとも鼠小僧に毛の生えたようなことしかやってないみたいだし。
 ここで黒の騎士団の存在の社会的な意義と実力を説得力を持って描いておかないと、シリアスパートは致命的だと思うのだが(前回のショットでは失笑の対象であることを示すギャグのようだった、土方のおっさんゼロコスプレも「支持されてる証」のつもりみたいだが、もうなんというか……)

かといって、もうひとつの軸である学園パートも冴えない。本筋に何の関係もないコスプレとか、DVDのおまけエピソードのようである。

 サブタイトルの「リフレイン」はまるで総集編みたいだが、何の前振りもなく出てきた謎の麻薬で、何の前振りもなく出てきたカレンの母親が、何の前振りもなくこの薬の中毒症状になっていて、何の前振りもなく麻薬密売現場でその場で一発決めているのだった。すごい! どこの世界の麻薬業者が、卸現場で薬を売人でなく客に直売りして、しかもその場で使わせるというのでしょう。
あと、麻薬をまいたのは誰なんでしょうか、もしブリタニア国家関係者だったら笑いますが(日本を滅ぼしたいのならもっと効果的なやり方があるでしょう)。

だいたい、過去を思い出す薬ってなによ。『去年を待ちながら』のあれか? あ、あれは過去に戻る薬だったか。ともあれ、この麻薬の設定は、母親の設定共々、今回の話のためだけにこしらえた感ありありで、そこから導かれる「感動」のエピソードについていくのは超大変である。どれくらい大変かというと『ヴィレッジ』を見て途中で真相に気づかないでいるぐらい大変である。にしても、お母さんは占領前からメイドさんだったんでしょうか? というかその頃はイレブン差別はなかったはずなのだが……。謎だ。

さて、正義の味方にして弱者の友たるテロリストチームは麻薬取り締まりチームでもあるわけですが、ゼロくんはかっこつけて段取りを仕組むことはできても、いざ計画が実行段階にはいるとてんで役に立たないのが悲しい。目・と・目・で・通・じ・合・う〜以外は、戦闘能力が高いわけでもないただの高校生なのだから、しょうがないといえばそうなのだが、ピンチにおちったカレンを、機転を利かせて救うイベントぐらいつくって、その知能の高さをアピールしても罰は当たらないのではなかろうか? 
もしかすると、ホットドッグ屋がらみでの間抜けなエピソード(衆人環視のなかでの安易なギアス使用)などとあわせて、じつは「面倒なことはギアスで解決!」なゲーム脳ならぬギアス脳とでもいうような症状に彼が陥っていうことをほのめかしているシーンであるのかもしれない。王の力は人を孤独にするよりさきに、まず頓馬にするというわけである。
そういえば「先輩」のライト君も、悪人だけでなく邪魔者はデスノートに即記入、みたいな濫用をしだしたのが転落の始まりでしたね。
ギアスばかりで勉強しないと、ジャックは馬鹿になる……。