第十九話「その泣き虫さんったら・・・/その乙女心ってば・・・

 藍華風邪を引く、の巻。
 そして後半もふくめて、藍華独壇場、の巻でもある。藍華好きとしてはとても素晴らしいことである。

 しかし微熱だとあまり食べ物美味しくない可能性が……。それどころか、散歩する意欲がなぜ沸くのであろうか。だるくないのか?
 もっとも、ここでのポイントは、藍華に違う視点で日常を見せること、にわか異邦人感覚を感じさせることなので、その前段階は適当でもいいといえないこともないのだが。そういえば『ひみつの階段』でも風邪による休日をテーマにした名作があったなあと、いまさらながら思い出す。

 後半は藍華の惑乱。
 「激しい衝動が朝から私を襲い続ける」って、何か不謹慎な想像をしてしまいます。「衝動」に頬を赤らめる藍華が可愛い。
 いやもちろん内容はまったく不謹慎なものでなく、むしろ教会向きの内容で、と同時に生粋の少女漫画なのであった。生臭いネタをいっさい排した「僕等がいた」みたいなものである。
 しかし『僕等』と決定的に違う点もある。そう、以前も書いたとおり、そこに「安心」が約束されているところが、それである。
 藍華は絶対ハリーポッターに会えるし、切った髪は褒められるし、ハリーはヘアピンに気づく。それが期待されているし、そしてその通りになる。
 それこそがヒーリングアニメのヒーリングアニメたる由縁なのであった。
 
 それにしても姫社長はかわいい。しかし服は要らないと思うがどうか。