第十二話まで

 ハイスクール青春白書な群像青春ラブコメ。原作のテーマがテーマなだけに(タイトル通り「キス」である)、さすがに主人公がひとりでいならぶヒロインの相手をしていく構成にはしづらかったのだろう。いくらハーレムアニメでも主人公がヒロインズの唇を次々奪っていったらピカレスクものになって、クライマックスは幽霊が出てきて彼を捕まえ、厳かに歌いながら地獄の業火の中へ引きずり込むいう流れが、視聴者の心情的に不可避になってしまうからだ。女心の歌をうたいながら飄々と去っていかれたら見てて気分悪いしね。
 そんなわけで主人公は三人。男二人(原作主人公の名前を分割してもらったらしい)と池澤春菜。それぞれの恋愛模様が順繰りに描かれていくのか、と思ってみていたらば、なにかここのところ雲行きがおかしい。男1の彼女は物理的に退場するフラグでいっぱい。池澤春菜の男は心理的に退場させられそうなフラグでいっぱい。そして男1と池澤がくっつきそうなフラグでいっぱい。序盤でくっついたカップルがいったん別れてまたくっつくという話になるのか、序盤でくっついていた相手は単なるかませになるのか、予断を許しません。男1と星乃さんはいいカップルだと思うんだけどねえ。サックス君は音楽談義をすると見ていてむずがゆくなるので、いささか困りものですが。
 男2のほうは、水銀燈広橋涼の二股というか、広橋涼のほうが岡惚れ、みたいな流れで、修羅場というよりは、単純に広橋ひとり相撲的な雰囲気ですが、変に神経症的な展開にならないことを期待。うどんの人と妹の人のコンビは、蛙のようなクリーチャーの人形は気味が悪いし、明らかにまずそうなうどん話は寒いしで、見てて疲れるのだが、いなければいないでつまらないかもという不思議なポジション。能登麻美子ルルーシュこと男3とくっつきそうなくっつかなそう感じだけど、なんで能登氏はいつもこういうキャラなんだろうか。そういえば成恵からして、日常から外れたキャラでしたな。
 昨今流行の変にドロドロを強調する路線でない、さわやか青春ものとして展開していくことを期待したいですね。