全話

 良くも悪くも、あの一作目の続きという感じのゆるい一品。ただし今回はラブコメと戦争、という明らかに食い合わせの悪いブレンド物なので、そのゆるさがプラスにもマイナスにも作用し、なんともいえない微妙な味わいになってしまった。前作もそうだったが、シリアスパートの妙に生臭いところ(戦時下の描写が第二次大戦の日本の学徒動員くさいとか、ドイツ風の国との共闘とか、「虚無」という大量破壊魔法とか、天皇みたいなポジションの女王とか)や、サイトの一騎当千ならぬ一騎七万な無双乱舞や第三期への橋渡しとしてもあまりに無敵すぎる回復パワーをもつ能登麻美子声の妖精さんといった展開の説得力の無さを、粗雑な描写でなあなあにしてしまうのはいいのだが、同時に物語が本来持っていただろうサスペンス、あるいはコルベール先生がらみの重い流れの衝撃をも緩和してしまうというのは果たして計算どおりなのか判断に苦しむところ。原作の流れが仮にそうであったとしても、戦争なんぞの大ネタはもっと背景にまわして、ラブコメ主体で展開したほうがいいような気もする。キャラクターも新キャラが出る割に精彩がないし、既存のキャラもどんどん背景化していくのは、第三期という名の後編への「溜め」と思いたいが、戦争ネタが続く限り、どうも微妙なノリは変わらないままである気もしないでもない。