第九話「あにいもうと」

 今回は「収支」だけを見ればオーソドックスな「人を呪わば穴ふたつ」オチ(暗示にとどまっているけど、本編終了後早い段階で、妹は死ぬはずである)なのだが、ほとんど誰も悪くない、というのがポイント。

 勿論、ミキ(という名前をなんで妹が言っているのか謎だが。多重人格じゃないみたいだし)が悪と言えないこともないけど、基本は善意の産物で、しかも妹も実のところまんざらではなかった、というのが事をややこしくしているわけである。結局のところ、近親愛を止められそうになく、といってそれを貫くにはモラルが邪魔をしてしまうという、いわゆるダブルバインドに陥った患者が今回の二人で、治療者がどこにもいなかったというのが悲劇だったと言う話。ダブルバインドすなわち二重拘束を放置しておくと、いうまでもなく「中央にあるもの」が壊れるわけだが、その破壊の片棒を地獄チームは担がされた、ということですな。ようするに、復讐代行どころか、無理心中の支援団体と化してしまった、という(実質合意の下の心中みたいなものだが)。

 にしても、担当官制とか、地獄ルールがどんどんフレキシブルになっていくなあ……。状況をかぎまわる柴田親子がいないから、視聴者に事件の本質を見せるための「下調べが大切」設定が必要なのはわかるんだが、依頼されればなんでも受けるという設定との齟齬がきつくなってきた気もする