百三十八話

 前回の、ストーリーをおざなりにしてまでやった「侵略者意識の復興」がどこかにいってしまったこの駄目構成はなんですか。というか、前回のあれが完全に意味がなかったという感じですが。

しかし今回はけっこう面白かった。特に前半。
ケロロたちの、「侵略計画のアイディアの枯渇」とはつまり「アニメケロロのオリジナルストーリーのアイディアの枯渇」ということで、言ってみればアニメスタッフの愚痴の集大成のようなものであったのが、今回の内容なのである。
たしかに失敗するのがわかっている「侵略計画」を三年も考え続けるのは大変だ。シナリオライターは変動しているし、いくらかキャラも増えてはいるとはいえ、従来の枠組みを組み替えるようなものは何もなく、それこそ原作者が変わらずオマージュを捧げているドラえもん的なループ世界になっている以上、できることは限られているし、その上ケロロ小隊には「侵略」というお題を無視できないという縛りがあるのだから、その日その日で気ままにやりたいことをかえられるのび太を動かすよりはるかに難しいことだろう。
 そうした行き詰まりを打破すべく無理やりひねり出した作戦があのように無様なキャラクターショーであるというのは、テナントが減りまくって廃墟寸前のデパートのバーゲンセールのように哀愁すら漂う風景である。そういう状態で、夏美――普段でも一人でケロロ小隊五人並の視聴者人気がありそうなキャラだ――に、客受けをみな持っていかれるのも当然のことなわけだが、本来なら皮肉な失敗オチであるはずの結末に、むしろ、どんな形であれ受けたのだと救いを読みたくなってしまうあたりに、シリーズの「辿り着いてしまったところ」を感じさせられてしまう。

 後半の、ある種惨劇であった前半のサイドストーリーをイントロに始まる、冬樹中心のラブコメ話は、ケロロたちが中心になるよりはだいぶ元気で、シリーズが今後もし第四期があるとしたら、こちら側を延ばしていくしかないだろうと思わせる。アリサとかノントルマ姫とか出して。いや、平日夕方の番組でハーレムラブコメはきついか?