第九話「ウェットダメージ」

量子コンピューターによる転送における欠陥なんかがメイン。
 素人考えだと量子転送と情報の劣化は違う次元の問題のような気もするが……。やはり量子転送をネタにした『タイムライン』ではこういう問題は出てこなかったような気もするので、ちょっと調べてみたけどいまいちピンと来ず、というかよくわからず(ただ副産物として、量子的絡み合いをエンタングルメントというのはわかった。「エンタングル!」で「絡み合い状態を作れ!」みたいなものか?)、この辺は、理屈がリアルな考証に基づいているかどうかではなく、そういう設定だからと思ったほうがいいだろうと勝手に結論付ける。話としては「欠損」の存在とそれによる電子的な死を示したかっただけなのだろうしね。ただ転送の前にバックアップを取っておけばいいような気もするんだが……。無理なのか?

 さて、前回一応悟ったはずのキョウはやっぱり微妙に納得できてない、というより納得しようとしてちょっと自分を説得しきれてない感じ。まああの理屈じゃあねえ。(前回の感想内容についてちょっと反応があったのでそれについては、すぐ下の八話感想補足をお読みください)

 逡巡するキョウへ追い討ちをかけるのが件の転送システムの欠陥。でもまあ物理現実に生きている人間でも、ちょっと頭をぶつければ脳細胞を少量とはいえ確実に失うというし、何かを失わない変化はありえないので、たいした問題でもないという気もしないでもない。っていうかバックアップについてのフォローが今後欲しいです。

 もっともキョウも結局たいしては長くは悩まないのであった。「俺は俺であるから俺なのだ……」 というわけで、哲学好きの設定は完全に消えましたな。きっと「前世」の彼が詳しかっただけなのでしょう。 

 ドラマ的には、青春だねえ、という展開で、リョウコ役の人の余りプロっぽくない台詞回しがいい味出してる。ヘタウマ? 三人組は内二人まで陥落。もう一人も時間の問題ですねえ。キョウはモテモテである。

 次回は、サブタイトルが「また夏がくる」と青春一直線風なわりに、舞浜世界が消えそうなナレーションが怖かった。脅かす目的で書かれている可能性大だけど、実際、サーバー凍結とかの展開はありそうだ。維持には膨大なエネルギーを消費するから、とか言って。
 でもリョウコが出ないゼーガペインなどゼーガペインでないと思います。