第十九話「true heart」

 ギャルゲーアニメに他のギャルゲーのパチモノくさいサブタイというのはいかがなものか、というのはともかくとして、いきなりのサッカー野郎の妹をつかったそこはかとないエロ描写にひく。こういうのは、血のつながってない妹とかそういったエクスキューズをつけた上でやるべきなんじゃないかなあ。特に今までそういう描写皆無のキャラの場合。
 しかしなんですな、サッカー中心になると恐ろしいぐらいにベタなギャルゲー時空になりますね。なぜかもてまくる主人公、恥ずかしい正論を語る主人公。徹頭徹尾それで通すならともかく、局所的にそうなると違和感が凄い。シナリオ書いているほうは変に思わないのだろうか? キャラごとに分業してかき混ぜたわけでもないのに。
 
 三角関係化が進行する星乃コウイチマオねえパートもちょっと。
マオねえは「別れてもいい男」なカイ君とのくだりも含めてとても少女漫画なわけだが、普通に少年漫画的なラブストーリーのコウイチ星乃さんのラインと合流するとはやはり合わない。「どこにでもいる普通の女の子――と本人は思っている――が理想の男と出会う」少女漫画フォーマットと「どこにでもいるへたれ野郎――実態もそうである――がかわいい女の子をモノにする」少年漫画フォーマットでは物語のベクトルが全然違うのだから、当然といえば当然なのだが。
 両者の緩衝地帯とも言える、女子だけパート(うどん、ヘカテーの人型のコピー、星乃さん)がなかなかいいかんじにSEASON FOREVERで、楡の木の上で君は笑う、な雰囲気にできているだけに、衝突するところの違和感がきつい。マオにはどこまでもカイ君がいるが、星乃さんにはだれもいないのだしね。まあ、うまく「振られの美学」をやれば、それなりに綺麗にまとめられるだろうが……(というか、最悪でもそうしてくれないと寝覚めが悪い)。

 あ、ギャルゲー脳のサッカー野郎にはそんな美学の逃げ道すらありません。念のため。誰をとってもバッドエンドである。視聴者的に。