第七話「花が咲いたら」

 地図にない町の住民が実は人外、という話は星の数ほども描かれているし、二十分ぐらい前に掴み合いをしていた名塚香織が出てきたとたんに薄幸のヒロインとわかるのも同じく星の数ぐらいあるし、彼女を含む村民の正体が樹木というのもべつに新手ではない。
が、アルビノの木、というのはあるいは新手かもしれない。だって、葉緑体のない木なんてそもそも芽吹かないのではないかしら。そういった意味ではとても破天荒な一篇である。
 まあ例によってそんなことはどうでもいいわけで。どうでもよくないのは、隠し子とかくまから出てくる日本刀とかツンデレとか短歌とか俳句とかコーヒー苦いとか明らかに本筋の構成より力が入っているアルの歯磨きセット一式のデザインとか歩きながら寝ているとか、そういうところなのである(アルの過去の話は、アルのマザコン的なキャラのためには大切)。
 それにつけてもクルツ君がラゼル十四歳相手に体位とか言ってるのはどうなんでしょうか。