第五話「ジャグジー・スプロットは泣いて怯えて蛮勇を奮う」

 タイトルになっている蛮勇を奮う人は、そういうキャラと意図して描かれているのだから仕方ないが、出てくるといらいらするのでできるだけ出てこないでください。なんというか、常にヒスを起こしている碇シンジといった鬱陶しさがあります。ってかこの刺青だか瘢痕だかのこの人たちはなんなんだ。仲間が八人殺されたとか言うのだから、何十人という単位で模様がついている人たちがいるわけで、目が光ってるのはイメージシーンなのかそういう人たちなのか知りませんが、前世紀三十年代のアメリカはいろいろと魑魅魍魎がうごめいていたんですね。インディアナジョーンズが教授になるかなりかけだったのはたしかこの頃ですが、インドにイカモノ食いの邪教集団がいたりしましたから、きっと自由な時代だったのでしょう。

 列車編は今回は各グループの動向をざっと描いたのち、レイルトレーサー襲来という流れなのだが、線路の跡を追うもの、っていうのはどうも冴えない渾名である。線路には「跡」はないし、動いてないから追っかけられないよ! 話によればトレース(追跡。まさか模写じゃあるまい)しているのは列車みたいだから、トレイントレイサーじゃ駄目だったんだろうか? 伝承ならばなおさら、名は体を現すものになるはずと思うのだけど。変な表現だが、実在の架空の生き物で、「史実」に忠実な名前なのかしら。

 フィロが入ろうとする組織はマフィアじゃなくてカモッラ、これは実在の組織らしいが、現実のカモッラはマフィアのように「ファミリー」という枠組みではなく、もっとビジネスライクな存在みたいなので、現実の彼らの幹部がこのアニメのようなウェットなイニシエーションをやっていたのかとか、不死者かどうかは残念ながら存じ上げません。
 そのカモッラの面々に、刺青軍団、錬金術関係っぽいお爺さんたちも含めれば、もはや異世界ファンタジー並みにスーパーナチュラルな人々でいっぱいのアニメである。アイザックと暗い過去のないサキュバスのコンビは頭の中がスーパーナチュラルだし(さらにどうやら、肉体的にもそっちっぽい)。

 次回、ディーン・クーンツの敵役のような謎のクリーチャー大暴れ、の模様。