第二話「老婦人の不安をよそに大陸横断列車は出発する」

 大陸横断特急編。列車サスペンスというとヒッチコックに『バルカン超特急』という不朽の名作がありますが、あのレベルにいけるかどうかはともかくとして、ギャグの通じなそうな狂信者軍団、藤原啓治が楽しそうに人間の屑っぽいリーダーを演じてる犯罪者チーム、役者というよりは、テレビ通販の宣伝マンみたいな二人組のキャラ(門脇舞以の素っ頓狂な声色は、こういう、いい意味で頭が腐ってるキャラにはぴったりだ。リアルにいたらむかつくだろうけど)、あとなにかいろいろ曰くありそうな顔に模様がある人たち、と同一列車に乗り込んでいく複数のよからぬ思惑を抱いた勢力をテンポよく描き分けて、こちらの期待を煽るには充分。
 ひとつ気になったのは、「空飛ぶ子猫号」の一等車両が前のほうに連結されている、と説明されているくだり。列車方面は詳しくないが、蒸気機関車が先導の場合、料金の高い席ほどが後尾にあるのは、煤と煙をできるだけかぶらないようにそうなってるんじゃなかったかとおもう。わざわざ当時としても異例という描き方をしている以上、そのあたりもわかったうえでのことなのだろうが、それが単なる列車オーナーの奇矯性の表現だったり、車掌入れ替わり劇の発覚を遅らせるためだけの作劇的都合だったらちょっと困る気もする。まあまさかそんなことはないだろうけど。