第一話

 構成が破天荒、とは見た人すべてにいわれているであろう。だって、ダイジェスト版みたいなんですもの。
 というか、強引ナレーションの被せかたなどからすると、バッカーノみたいな意図的な霍乱ではなくて製作の都合で数話を本当につぎはぎしたように見えるのだが、真相がどうであるかはDVDの仕様発表あたりで正式に判明するはずである。主人公の衣装からするに最低でも二話、エピソードの量からすると三話ぐらいは詰まっているようだが(具体的には、主人公が子安武人に家をおんだされてホストやくざに化けている薬売りと意気投合するまでの話と、今回のメインである幽霊と藤原啓治の話、そしてまったく描かれていない、すでに狙い撃つ人よりキャラが立ってる三木眞一郎と会う話、といったところか)、はたして?
まあ、こういってはなんだが、どれもたぶん特別ひねった内容でない気配がするので、何話か飛ばして見始めてしまったかな、という気持ちになったこと以外は特に問題なく見ることができた。
 ようするに、お姫様ポジションの主人公が王子様にしてナイトたる、対照的なナイスガイを二人を従える王道少女漫画である。こういう話は、一見一番の売り物のようにみえるが実は定型から抜けられなくて凡庸化する男二人よりも、主人公のキャラクターが命綱だったりするわけだけど、これは割とうまくいっている。決め台詞というか口癖みたいなのがちょっと寒いけど、そのお約束ともいえる無敵(戦力的な意味ではない)ぶりを含め、男を侍らすに足る可愛らしさが表現できている。『True Tears』の重圧からの息抜きという意味でもとてもよい感じである。