第七話『とんでもないとんだ女』

 訂正。椎名高志はOPにばっちりクレジットされてますな。字が小さいとかOPは一回目以降は飛ばすとかそういうのは粗忽の書き手のいいわけにはならない。
 粗忽 というば、今回のキモもやはりその粗忽でありました。「シンザの死」を巡る『落語天女おゆい』に見せてやりたいような「粗忽の長屋」芝居が素晴らしい。あの存在論敵に恐ろしいオチ「死んでいるのは確かに俺だが、背負っている俺は果たして誰だろう」をそのままやってくれなかったのはちょっと不満だが、テンポのよさもあいまってなかなか楽しい。元ネタを知らない人には小劇場感覚のギャグ以上に意味がさっぱりわからなかったかもしれないが……。
 さてさてお話のほうは、花火作りを「手伝わせない」にはじまって、山寺組の捜査の進捗とそれにあせる十手持ち、カラクリロボット暴走からソラさんの正体(の一部)露見まで、見事なぐらいに散漫な仕上がりだけれど、中盤の展開期であるし、テンポもいいしで、あまり文句を言う気にはならない。
 さて、江戸時代の科学技術では到底不可能なロケット技術をどうやって実現する(したふりをする)のか、興味が増すところでございます。きちんと「月に還る」にせよ、最終的に居残るのせよ、大江戸ロケットが発射されないことには話は終わらないわけだから。