第六話

 冒頭の夢のシーンにぎょっとさせられた第六話。未来編? ヨリトも夜禍人に? 青空が文字通り三度の飯より好きなのに? 
 まあ、それこそそういう「夢」でしかなくて、未来を幻視しているわけではないのかもしれないが……。

 お話はというと、なんとお姉さんもあちら側の住人であったのでした。っていうか、マツリの「娘」? さらには、ヨリトは義理の弟なのか、もしや似ているだけとか、子孫だとかその手の限りなく他人であるのか、と、ただでさえ背後事情や方向性のはっきりしない話なのにこれ以上よくわからない要素を増やしてどうするつもりなんだろうと思わないでもない。だいたい、住所不定の夜禍人が特に考えなしに訪れた町に彼女が血を受けた者が居を定めていて、なおかつ、その関係者が深夜に町をうろつく趣味があり、偶然にも夜禍人が公園で自動販売機を攻撃しているときにその場に居合わせており、さらにはそいつが見ず知らずの人間に声をかけるタイプの人だったという可能性は、いったいどれくらいのものなのだろうか? 後付けで「因縁の過去」を作らなければいけないような連載漫画なんかならともかく、最初から全体の構成を見通せる作品で、こういうのはどうなんだろうと思う。これでたとえば、マツリがこの町を選んだのにはなにか理由があり、それが「娘」であるアオノと共通のものであった……とか、そういったことならば、いまとなっては恐ろしい偶然の産物であるヨリトとマツリの出会いにもそれなりに必然性が見えてきて、作り物感覚がだいぶ薄れるわけだけど、今回の対話のシーンでそのあたりにいっさい踏み込んでいかなかったことからして、きちんとした理屈を考えているのかという以前に、不自然に気づいているのかすら、非常に怪しいものであったりする。

 かくのごとく、大筋はにわかにご都合臭がきつくなってきたにもかかわらず、部分部分はそう悪くない。すき焼きの話とかは朝から湯豆腐とか高校生がタン塩がどうとかいうやつよりはそれっぽいし、「太陽の匂い」のシーンとかは、それは太陽の匂いではない、という突っ込み(あの匂いは、たんに、布団がとても軽度にあぶられたというだけなので)をさておけば、けっこう微笑ましい場面だし、ダカーポのアニメでも見た気がする学校侵入とか、それに続くキスシーンなんかも、手垢は付いていても青春ものとしてはそれなりの出来映えで、ようするに、変に話を複雑化せずに非日常上をマツリ一点に絞ってやればよかったんじゃなかろうか、とおもうわけである。藤原啓治金田朋子パートもいらん。

 とまれ、どうやらワンクールでまとまりそうになってきた。短期決戦結構。しかし、マナとコヨリのよくわからない関係とかは今後明かされるのか、ちょっと不安になってもきますね。またなにか因縁因果に絡めとられていくのだろうか? いや、そうなると流石にギャグである(えーと、ロスマクドナルドや横溝正史を馬鹿にしているわけではありませんよ)。