第六話「来訪者(ビジター)」

 ええと、そんな名前の映画はない! 『? ビジター(来訪者)』はテレビシリーズだしね。もしかするとジャンレノの傑作馬鹿映画『ビジター』から来てたりするのかしら。まあいいや。
 とまれ、真打登場。ただしかませ犬の真打ですが。
 冒頭の、ノーマル(というかだらけ)モードのルナがなにやらブルース・ティムが描くところのアニメ版バットマンのハーレクインのメイクをしてない状態(というかだらけモード)みたいなのは、裏表が極端な空回りキャラという共通点を手がかりにしたオマージュなのか、単なる偶然の一致なのかわかりませんが、キャラクター的なベースはアスカ。属性でいうとツンデレいうやつですが、わたくし様という得体の知れない口癖といささかやりすぎな野川さくらの演技以外は本家よりいい感じ。妙に神経質っぽいというか、メインヒロインへの対抗意識に、若干トラウマ解消モードがはいっているところ――歌の話だけでなく、サンの旦那下僕化計画だって、ナガスミ本人が魅力的というよりは、「サンを本気で想っている人だから」なわけで、裏を返せば「本気で思ってくれる人がない」ことが彼女の動機ということになる――は本家と同じにしなくてもよかったような気がする。なんといっても、トラウマヒロインネタは本家の迷走の元凶の一つであるのだから。
 まあ、先の心配は置いておくとして、このルナとサン&ナガスミの絡みは、古典的ながら楽しい――否、古典的ゆえに楽しい。ベタベタな展開をなんの迷いも緩みもなく完遂する潔さが素敵だ。めずらしく主人公視点の描写、構成が基本なのも「古典化」に拍車をかけているが、流石にお子様たちの鞘当合戦には大人と、大人の視点のでしゃばる余地はないから、これまた当然というべきだろう。
 ただ、抗争がエスカレートした結果、学校が最終戦争の後のようになる展開というか演出(BGMがなぜかオペラ座の怪人テイスト)は、ちょっとやりすぎな気もする。まあ、次回は何事もなかったように歌合戦になるようですが。さて、勝利の鍵はやっぱり桃太郎さんなのでしょうか。

 にしても、ボディーガードのネーミングが、ボビー&マイケルとは古いというべきなのか、あえて落ちぶれ組を選んだとみるべきなのか。うーむ。