第八話「セパレーション」

三人目のロケットガールが生まれるまで、のその二。
うーむ。
視聴者を微妙にむかつさせることに腐心するシナリオはなんとかならないのだろうか。

たとえば、茜が倒れる冒頭の場面がそうで、それを目の前で目撃している医学主任は、言われないと看護に乗り出さないばかりか、いわれても「はあ?」みたいな間が入る。フィリップマーロウではくても、「あんたがヒポクラテスの誓いを唱えたのは……」とかいやみの一つでもいいたくなる場面だけど、これはあとで安原さんが人としてまともな反応をしているさまが描かれていることからもわかるとおり、意図的な描写なわけである。こいつは人身保護にさして興味のない医者なんだ、と。
 問題は、それがこの作品をどこに導いていくのか、というところで、すくなくてもこの手の話の王道である「一見、奇矯な人たちだが、付き合ってみればそれなりに言い分もあり、悪くない人たちである」というまとめかたにはならないのは確実なのだが――そのつもりなら、今回はもっとさつきがまともな人に見えるような構成にするはずである。このスタッフがいくら馬鹿でも、件の序盤のシーンがあるために、後半のシーンを見ても彼女のスタンスに共感も理解もできなくなるのが、わからないはずもないからだ――といって、異常な人々に苦しめながらも宇宙への夢をかなえようとするけなげな主人公、という話でもまあないし(茜が主役ならまた違うが)、シュールでサイコな状況に困惑するブラックコメディ、というのでもやっぱりない……と、とりあえずこのボンクラ頭ではまだ何がしたいのかわからないというほかないのであった。