第一話「桜」

ヤミと帽子と本の旅人』のチーム(原作のゲームの同じメーカー)による新作。

しかし、これは困った。
話がわからない。『ヤミと帽子〜』も最初のほうの展開が飛躍しまくっていたが、ここまでわからないことはなかった。

漫然と見ていたら何がなにやらさっぱりわからず、しょうがないからもう一度最初からきちんとみたのだが、やっぱりよくわからない。

 もちろん、百パーセント不可解、というのではない。場面ごとの意味は通るところもある(トウカモモカは素体は雛人形らしいとかね)のだが、「ユミコの創作した物語」と「創作したものが実体化しているという現実」(と思われる場面)、過去と現在、パソコンで創作している伊藤美紀(これがユミコ?)のいる世界と手書きで創作している伊藤美紀、等々、場面と場面のつながりがとかく不明瞭で、全体としてなにを見せたいのかよくわからないのだ。第一話だからともかく意味深で暗示的な場面を並べておこう、という計算なのかもしれないが、このような大まかな枠組みすらわからない状態でもひっぱれるような魅力ある謎や場面が作り出せたか、というと、疑問が残るところではある。

おっさんとかを出して、「謎」を深める方向に色気を出さずに、もっとヒロインたちを描きまくって、耽美を追求したほうが、作品的に――そしてスタッフの力量と才能的には――ふさわしかったような気がする。