第十一話「サンプリスの嘘」

 どこまでも空気の読めないジャヴェール(次回予告漫才でフォローされているように、悪人ではなくてなおかつ、存在がものすごく迷惑、というキャラは強烈だ)。そして、さらばファンティーヌ、さらに、たぶんシスターサンプリス最初で最後の晴れ舞台、という第十一話。
 ファンティーヌの最後のくだりは、あっさり風味ではあるが、原作の展開にかなり忠実。原作に存在しないアランも無理なく溶け込んでいるうえ、作中の状況の解説に役立ているのがいい。
 オリジナルで上手いといえば、コゼットパートのカヴの芸人根性(テナルディエの女将さんを七面鳥にして繰ってしまうとは、モラル的にはどうなんだろうか?)で、これは今後の重大な伏線であるともに、暗鬱一辺倒になりがちなコゼットパートの印象を適度に明るくする役割も果たしていて――さらにいえば、次回以降の更なる苦難を際立たせるための「それなりに楽しい事もあった宿屋での生活」の最後の情景でもある――、上手い工夫である。

 サブタイトルにもなっている、「嘘」のくだりは、単なる静止画のショットにきちんとシスターの強い意志とまっすぐな心が伝わってくる、いい場面でした。

 さて次回「ひとりぼっちのコゼット」ということは、やっぱり……