第二十三話「印旛沼古堀御普請」

大見得を切る、妖夷を一刀両断にする、と鳥居の旦那がヒーローな一編。

大人の事情により、形の上ではこれがクライマックスシリーズということになるわけだが、本当はここでようやく、鳥居の旦那を前面に出して、「本筋」が動き出すという構想だったのだろうな、と思う。ああもったいない(エドゲンが珍しく自発的に暴れまわっているのも、今後の伏線だったのかな)

さて、宰蔵はいきなり置いていかれてしまった。小笠原の監視というか慰安というか。やはりヒロインではないのか(キャストクレジットも、サブキャラポジションだったしねえ)。

で、当然のようにアトルがヒロイン。異界仲間ということではたしかに一番ユキアツに近い人ではあるのだけど、逃避の場としての異界、という捉えかたまで往壓と一緒(それもユキさんが一応乗り越えたもの)なひとなので、お題としては今までやった話のたんなるリフレインであり、大詰め向きのネタではないようにも思う。中盤の総括編としては、もちろんありなんだろうが……。

西の民の人たちは、次回ちょろっとその存在意義を延べて終わりそうな気がする。はじめから二十六話構成だったら、たぶん出てこなかったのだろうと思う。

映像的には、汚い小屋に寝転がっている、「親父たち」のショットが怖い。それを以上と知りつつ、普通の人間に対するように語り掛けるアンちゃんの哀しさも強烈。夕飯時の話としては、やっぱりふさわしく無い気がしますが(蟲師だってこの時間帯ではあわない、というようなものである)。

狂斎がアトルの恋人候補ではなく、気がついたらやんちゃな弟かできの悪い兄みたいな立場になっているのは、なにかほっとします。