第三話「ランチパッド」

ゆかりが「やらされる」から「やる」への転換という話。

 「やりたくない」というヒロインに視聴者がまず思う、「なら帰ればいいのに」という思いに先んじて「責任感の強い子」というタームで釘を刺しておくのはうまいというかせこいというか。まあ本当はその責任感の強さを描写でやったほうがいいのだが……。中華料理を太るために食うのはどう贔屓目に見ても痛い光景なので、軽く流してくれたのはよいことである。

にしても、あいかわらず、基地の職員どもが不快である。もちろん、科学者の暴走とそれに対する反応の描写が八十年代の漫画っぽいコミカルな調子がある描かれていることからしても、ここはあまり深く気にするな、という作り手のメッセージがあるなのはわかるんだけど、にわかに受け入れがたいのも事実。第一話のミサイル攻撃などは、サブプロットであるので多少、嘘でも無茶でも問題はないのだが、基本リアルサイエンスで構築されているっぽい話の核心パートの科学描写で、ああいうキャラや展開を放置しておくはよろしくないと思う。あれでは実験データは取れないし、出費はかさむしでろくでもないぞ。

そんななかで、詠月感〜月へのロマン〜を語るおっさんはいい。言ってみればただの人情で落とす作戦なんだけど(本人は説得というよりは「助言」というつもりだったのだろうが)、ああいうときに語る人の声がいいのはお得である。