第二十話「乙女のアルバム」

 ヒロインの名前がジュリだったので、もう片方がリサなら単なる百合姉妹ならぬ、黒百合姉妹だったのに、と思いました。

 というのはともかく、愛は憎悪、そして、地獄でも天国、という話。

 と同時に、一目連、大失態という一編でもある。地獄チームがいなければ地獄流しが発動することはなかったという、いわゆる後期クイーン問題――事件の部外者にして観測者であるべき探偵自身が犯罪計画の一環になってしまう――の地獄少女版ともいえますが。一目連、岩男潤子回のときはぎりぎり踏みとどまってたのになあ。
 
 依頼から始まって動機を探っていくパターンの構成はオーソドックスだが、藁人形を直接脅迫に使うというのは、地獄少女伝説が一般に膾炙しているという第二期の設定ならでは(前作の知る人ぞ知るというレベルではまだ、あの使い方は出来なかっただろう)。
 しかし今回のポイントは、そこではなく、あの被害者の場合、地獄少女を信じていなくてもある程度は彼女に従っていたのではないかと思わせる、二人の関係の深さの描出だろう。麻里がつらく当たっているのも本質的には憎悪でないことがわかる微妙な表情やリアクションが上手い。その下積みがあるから、誤解と真相と悲劇が交錯するクライマックスが意味をなすのだ。そのクライマックスを含め、麻里が転んで怪我とか先輩が樹里を勧誘している現場をうっかり見てしまうといった展開自体は特に工夫と言えるようなものはないどころか、「操り」が目立ちすぎであるのが気にはなるが、ヒロインたちの悲劇のインパクトが強力なので、いいかなと思う。

 ただ、恨みが完全に消えているのに、紐を引いても依頼は受けるというのはどうなんだろう。わかっていて敢えて(二人の願いを汲んで)流したのか? うーむ。