第十九話「失くした心のパヴァーヌ」

悶々編が続く。今回で片がつくかと思いきや、状況はどんどん悪化していくのだった。さすがに、第四セレクションに向けて、あっさり解決させるわけにはいかなかったか。
 ただ、日野さんの問題が結局のところ、魔法のヴァイオリンを是とするかどうかというラインでしか話を進行させようがないのが、シナリオ的に苦しいところ。この進行速度だと、セレクションで自力で弾く展開はなさそうだし、かといって、今から魔法にたよらずにセレクションに出られるレベルで演奏が出来るようになるという展開は無理なので、必然的に堂々巡りになってしまうのだった(「日野さんが自力で弾く」展開はエピローグあたりになるのかな?)。
 作るほうもそれをわかっているから、クインテットの皆さんを巻き込んでの大騒動に発展させているんだろうが……。せめて日野さんが、昔すこしやっていた、ぐらいの前ふりのあるキャラだったらよかったのにと思う。
 という本筋とは別に、今回はまたも柚木の大将が面白い。SっぽいがMというのが彼の本質である。今回だって、日野アタックを受けにわざわざちょっかいだしにきたわけだし。なにかに似ていると思って、今気づいた。パピヨンである。ぱっと思い浮かんだ歌は「きみのなか、乾いた花に水をやろう」でしたが。

 日野さんの打つモードに柚木の大将とは違うアプローチをしたのが、月森くんでなんというか地球に降りてきてすぐのエイリアンというか製造まもないロボットというか、そういう存在が必死に気になる人を励まそうとして、なんかずれちゃってるという風情が微笑ましい。そのずれた激励を日野さんの音楽的才能(魔法に支えられている)にできる限り抵触しないような内容にするのはシナリオライターの努力の賜物である。

よくわからなったのは、金やんの回想シーン。ただの取り返しのつかないつらい過去、という感じではない。あの青池保子の漫画を彷彿とさせる時代がかった風情は、あの世界の外国はああいう感じであるということなのだろか? あるいは金やんが時の旅人で、あれは結構昔の話なのか。もっと単純に、妖精がいるぐらいのファンタジー世界なんだから前世ネタもありってことなのかもしれない。なんにせよ、謎だ。ゲームをやるか、漫画を読めばわかることなのだろうが。
 
次回予告がまたはじけてました。かれもまた、かれもまた!