第十八話「血ぬられた迷宮♯1」

 『SAW』みたいなイントロでちょっと意表をつかれ、さらに安原再登場に驚く。なるほど、お役立ち無敵キャラを使い捨てるのはもったいないということですね。
 話はというと二笑亭と『ローズレッド』の屋敷を混ぜたような(増改築で迷宮化というと作者年頭に会ったのは九龍城あたりか?)な屋敷での怪事件調査というやつで、おなじみのチームに加えて、さらに別のゴーストハントチームが入り乱れるという、「悪霊がいっぱい」編のグレードアップ版のような様相をしめす。うーむ、バリエーションが他にないのか。
まあそれはこの語の展開次第でどうにでも新味は出せるので特に問題はないですが、ライバルたちで、世界的に有名な霊能者とやらが一番胡散臭いのは気のせいでしょうか。
 キャラクター方面ではリンさんが中国人であることがわかったり、麻衣の生い立ちがいきなり明らかになったり、シリーズも佳境に来た作品とは思えない設定の後出しが衝撃でした。よくわからない人という設定のリンさんはともかく麻衣の生い立ちはもっと前に出しておくべきなんじゃないかなあ。といってここで明らかにすることで見る側が腑に落ちたことといったら、「なんでこんなに平日に仕事しているんだ?」って疑問ぐらいで、今のところほとんど意味のない設定なのだけど。まさか今回の話に使うために(そして高校生が昼間うろちょろしていることの説明を兼ねて)後付した設定じゃないだろうな。
 今のところ話は序盤なので、特に突っ込むようなところもないけど、謎の屋敷をモチーフにしているのに、その屋敷がさっぱり魅力的でないのは寂しい。なにもシャイニングのホテルとかサスペリアの寄宿舎みたいにしろというわけではないのですが、ただ出鱈目なつくりの邸宅というのでは「怪異の舞台」としては力不足であると思う。