第百四十六話「冥 憶えていますか」

僕は覚えているよ 君を覚えているよ
僕は覚えているよ 君を忘れないよ


なんて歌が見ているあいだ頭の中で流れていましたが、それはともかく。

冥王星降格のニュースを聞いたとき最初に思ったのは高橋葉介の「冥王星」という漫画だったりするのだった。これは、主人公の夢幻紳士に精神を破壊された狂える殺人鬼が「冥王星の住人」と接触して契約し復讐を果たそうとするっていう話で、偶然にも、この話における「冥王星の住人」もまた、「冥」と同じく思念主体の存在なのだった(実体化した想念と実体を持たない精神の差はあるが)。

内容的には、レテの作用によって記憶がなくなって同じことをしてしまうのと、時間が巻き戻ったようにまったく同じことを繰り返すっていうループ現象を一緒にしているのが気にならないでもないが、経費の削減とわかりやすさを優先した結果なのだろう。
冬樹がレテに負けないのはもちろん、冥王星のことを決して忘れない類の人種であるのと、もちろん主人公特権(設定よりも観測者としての役割重視、ともいう)である。

とまれ、去りゆくものへ愛惜溢れる一編でございました。