第四話「お母さんの手紙」

 タイトルが示すようにほぼ限りなくコゼットだけの一話。あと、ジャヴェールとファンティーヌ。
 原作をちびちびとながらようやく読み始めて、このあたりはちょうど過ぎたあたりなのだが(「堕落」の章を読み始めたところである)、そこからわかるのは今回が、基本オリジナルエピソードで、同時にコゼットを主役にするべく作り手が多大の苦労が払っている回ということ(シャヴェールとかファンティーヌ関連は一応原作準拠)。

なんといっても、コゼットパートはリアルにつめれば苛酷すぎて見るに耐えないし、変に甘くしたり救いを増やすと原作の枠組みを壊してしまうというとってもタイトロープなネタなわけである。
たとえば、神父と会うエピソードとかは相当苦しい。もちろん神父が救済者になってはいけないのだが、といってなんらかの形で彼女の支えにならないと出す意味がない……というわけで、本編で描かれたように言葉を教える、という役回りなわけである。
もっとも、明らかに自分の家の子供と違うぼろぼろの服装をさせている一家に対して「あの家は人情に厚い素晴らしい一家だ」とか周囲が言うとか、神父がそれを信じるとかは、絵にするとあまりにシュール(原作だとこのあたりはあっさりとした叙述で流すから、まだどうにかなっているのだった。というか当時のフランスでは児童虐待なんて日常茶飯事だったから、誰も気にしなかった、ということだろう)で、「少女コゼット」というコンセプト自体の本質的な無理を思わずにはいられない。

ともあれ、そうやって描き出した「お母さんの手紙」を巡るエピソードは、闇のなかのかすかな光という感じで、この手のお涙頂戴不幸大安売りネタが大して好きでなくても、それなりにくるものがあります。続く展開を想起すると、胃が痛くなりますが。