第十七話「ときめきの文化祭」

長らく引っ張った文化祭。これをたった一回で消化してしまうのはもったいない気もするが、変に引っ張るよりはいいか。
 前半は、どのキャラもやることが空回り(陸は芝居を見にいけないし、天宮さんは気もそぞろ、つかさの陸への気配りは功を奏せず、ひよこは宙を舞い、弥生は落ち込み……)。それが後半、弥生の「つきぬけ」から一転どたばたコメディに直行。溜めてのち開放、はシンプルな手だけど、やっぱり効果抜群。
 その「覚悟」を決めた弥生が強く、むしろ自分のペースに巻き込むことが基本のつかさは相手のペースにのまれると弱い、あたりはオーソドックスながらたのしい。

ただどたばたに走るだけでなく、「小鮎救い」のネタをその場かぎりのギャグだけでなく時間経過の表現とつかさ&弥生の退場アイテムに使うあたりは、このシリーズらしい芸の細かさで、それにくらべれば、ゲームの総監督なんか実名出演をするなんてのは、たいしたことではない。お化け屋敷ネタは面白かったけど。毎度瀕死の太宰治似の先生が無病息災だったとは新発見である。ただのなりすましだったのでした。ようするに「死んだらどーする?」って奴ですね。

 終盤、天宮さんと陸くんだけになるパートはちょっと前の空き教室ネタで来るかと思ったら、よりオーソドックスに第一話以来、演劇まで使われている樹のほうで来たのでした。あれは話に聞く「伝説の樹」とは関係があるのかどうか。
 
 それにしてもあれですね、この文化祭シリーズは、天宮さんが「みんなの天宮さん」でいられたのは本質的な無関心に支えられていたのだ、というのがよくわかりましたな。弥生とは別の意味で対人能力に欠陥があったのだった。

 次回は修学旅行。はじけたギャグというよりは、真面目に恋愛ものに行きそう(弥生出られないしね)だが、さて?