第十二話「ここにいること」

一週間たったので、少年はもう納得したのでした。願い石は小さなかけらがあれば、あっさり入れ替わりが戻せるのでした。と、誰の目にもご都合主義炸裂なオチですが、これ以外にやりようはなかったともいえるので、その辺はよしとします。

ただ、ひと夏の物語、という枠で見ると、ほとんどの出来事が、人間関係上のちょっとした誤解が解けたとか、言ってなかったことを言っただけだったりして、長々と展開した内容に見合うだけの充実感がないのも事実。
入れ替わり設定も、無駄に収束への手間がかかる仕掛けのわりには、キャラクターたちへの大きな変化を促すようなものでもなかった。子供がとつぜん大人の視点を持つことで、なにか違ったものが見えてくる、といったような要素は、各エピソードごとにはあったものの、あくまで細部でしかなく、中心で取り扱われている事件(兄とからだの関係、兄と椒子の関係、からだと少年の関係)に関していえば、その設定なくしてはありえない話というのではまるでなく、むしろ、入れ替わったことが事態の混乱に拍車をかけるばかりだったのだから、これは設定と主題のどちらかの選択を間違えたというほかないだろう。いや、設定にあった主題、ないし、主題にあった設定を見つけられなかった、というべきか。
なんにせよ、核心がぼけたままでは、表面的にいくら帳尻があっても見るものの心を動かすのは難しいのである。

映像的にはレベル高かったし、音楽もよかった。最終回の小清水亜美キャラの服装はほとんど犯罪のレベルだったのも感動的でした。が、しかしそれだけで本作が記憶にとどまる作品になったかというと、やはり無理であるといわざるを得ないのでした。