第十話「二人のジュリエット」

 文化祭編のまとめにして大詰めに向けての変動が続く十話。
 というか貴子さん変動しすぎである。全身からハートマークを飛ばしてます。そしてまりやはようやく自分の気持ちに気づく、と。
 とキャラ面の描写はきっちりしていたと思うのだが、かなの芝居の話と、瑞穂&貴子の芝居の話とネタがダブっているせいで、お互いの印象を食いあってしまった感がある。例によって複数のルートを同時進行させているせいなんだろうとはおもうが、もうすこしなんとかならなかったのだろうか。
 とくに、貴子さんの服に生徒会のおでこ眼鏡の人が仕掛けをしていたという話は、説明不足なのかどうにも苦しい。あのキャラは「貴子さん」の服には仕掛けはしないだろう。もっと他の妨害策を考えそうなものである。え? 貴子さんのパンツが描きたかったって? 
 まりやサイドは、まりやのほうの気持ちはともかく、瑞穂の鈍感振りがすごい。もっぱらまりや視点でやっているせいもあるのだろうけど、じつはなんとも思っていないのか、とすら思ってしまう落ち着きぶりである。緊張していた貴子さんを励ますくだりもそうだが、最近の瑞穂ちゃんは自分がじつは男だということを忘れている(あるいはシナリオの都合で忘れさせられている)ような気がする。
 しかし、いつまでもそのままではいられないわけで、まりや貴子だけでなく瑞穂が自分と向き合う展開がそろそろほしいところ。
 そういえば、ロミオとジュリエットの物語は恐ろしいぐらいにおざなりなあつかいでしたね。せめてああロミオの台詞ぐらい使えばいいのに。