第九話、第十話

まとめてみたら少しはすっきりするかと、二話続けてみたわけである。断じて見るのが面倒で放置していたら一週間経ってしまったためではない。
 というのはともかくとして、敵とか目的とかがわかりだす第九話と事態が動き出してきたという第十話。もうなんかこう、いろいろと遅かりし由良之介。
 こういう話を三話ぐらいにやってほしかったのですねえ。

 しかし九話で全ての視聴者に「ケイトよ葬儀屋と踊るな」と思わせておいて、十話でクレアたちにそれを突っ込ませるとか、いまだ余裕かましすぎた進行なのはどうにかならないのか。アニメが一週間おきに放映されることを念頭においてないのかね? 誰もが二話まとめて見るわけではないのだ。
 場面場面で言うと、葬儀屋さんがほとんど初めてといっていいぐらいに感情をみせるシーンや、クレアの苛立ちなんかはうまくできているので、ドラマ作りに関して計算能力がないというよりは、シリーズ構成というものに関して、なにか根本で勘違いしているだけ、という気がするけど。

 ただし、シナリオの出来は褒めにくい。
 絵解きをしたら矛盾が増すのってどうよ? 

 発祥したら再起不能で、発症の前段階がわかっている、というのならば、もう実質手遅れ、再起は不能なのだから、その段階で殺しても結果は同じであるはずなのである。なにも狂暴化してから苦労して殺すことはない。
 犬人間サイドも、発症したら狩られることぐらい、いい加減わかってよさそうなもののなのに、なんの対処も取っていないのも変だ。敵の存在は知っているのだから、ただの失踪と片付けるはずもないし、知ってて放置しているのだとしたら、阿呆の集団である。
 そもそも、発症について、それが葬儀屋には予知できて、犬人間側には予知できなそうなのもよくわからないが、何の手立ても――発症予定者についての隔離措置さえ――してないのが理解に苦しむ。毎回葬儀屋チームが片付けてくれなかったら、犬人間と化した身内が衆目に曝されしまうのだから。もしかして、頼ってるのか? 

 四人にたいする、各勢力の行動も謎だ。葬儀屋はなぜ「本当の力」について、その訓練の仕方のレクチャーどころか、そういうものがあることさえもここまでもったいぶって教えなかったのか? (四人があの超人ジャンプについて、考えもしなかったのはもう、脳が溶けていたからとしか言いようがないし、あの人たちにはそういう期待はもうしてません)
 それに、犬人間チームはどうして、ケイトたちの住所等をまったく調べようとしないのか。放っておいたら、逃げられるかもしれないし、自分たちの犬人間に殺されてしまうかもしれないのだ。無論、敵として立ちふさがってくる可能性だってあるのである。
 基本設定(新しい肉体、呪いと戦っているふたつの組織、犬人間と蝶のかかわり)というのをもっと早い段階から説明しておけば、前述の疑問を徐々に解きほぐしていくのがメインプロットになって、こんなにもやもやすることないのになあ。

それにしても、クレアの彼氏はどこまでいってもいい人である。ケイトの姉の彼氏は、その突然な話題の出され方からして、犬人間候補になりそうですが。

(そういえば気がついたら各話クレジットが、第二話初出のやつに固定化されているが、こういうものは全話統一しないとスタイリッシュになりきれないと思う)