第二十三話・・・

たけうちくんに意外に計算高い側面があることが判明、悪く育つとタラシになりそう、という話。

揺れる七美。そしてシリーズ中で一番動揺しているように見えるヤノ。そりゃそうである。たけうちくんのことをもっともよく知り、最も高く評価しているのは他ならぬヤノなんだから。そのかつてない狼狽っぷりを表情とアングルで見せていく演出はいい。

 とりあえず見れば見るほど、ナナミと矢野のカップリングには問題があったと思わざるをえない展開ではある。セオリー的にはこの段階で危機が炸裂しているということは、最後にはうまく解決し元の鞘に収まることを暗示しているといえないこともないのだが、この「危機」がいわゆるすれ違いとか仲たがいというのではなくて、本質的な相性の悪さが徐々に露見していく流れ(ヤノがいろいろ子供過ぎるのと、七美は七美でピュアすぎる)なので、いまさらよりを戻されてもハッピーエンドにはならないのである。
もうこうなったら「あの一瞬の永遠をいつまでも大切にする」という結論での決着、つまり分かれて終わるオチを期待したいところではある。そのための段取りとしての矢野家の引越しという、ちょっとずるい装置が出現してきたところであるし。

あ、しかしそうするとわんこはどうするんだ? 室内飼い?

そうだ、ヤノとその母のやり取りは面白かった。現実にはまずなさそうなやり取りではあるけど、親の自覚はあるのにどこか親になりきれない、という、あのヤノの親っぽい感じは確かにある。