第十話「カボチャとハサミ」

 三課が三課になるまで、という話。本筋が第一話の段階からほとんど進んでいないに等しいのに、ずいぶんと余裕たっぷりの構成でございますな。
 過去編をやるメリットというのは、各キャラのそれまでにほのめかされていたバックボーンの「答えあわせ」であったり、今後の展開への伏線の張りなおしだったりするものだけど、これにはそのどっちも感じられないのが、斬新といえば斬新な構成である。
 とくに、今回最大のサプライズは、眼鏡君が士官学校をトップクラスで卒業したエリートであり、そういう知能の持ち主であった、というがすごい。今までの物語ではその片鱗も見えなかった。ちなみに、能ある鷹は爪隠すというのはこの場合の形容としては適切ではない。なぜならこの鷹は狩の本番でも隠しているからである。そんな鷹は只の能無しである。
まあ、金髪の色男のほうも、元ゴロツキ設定は、元ゴロツキであるという話が出てくるまでは全然そういうふうに見えなかったから、前歴と現在が結びつかないのがこの課の人間の特徴だったりするのかもしれない。少尉の猪突猛進思考に少なからず当てられているのかもしれないですね。今回の見せ場たる汚職告発も結局さっぱり頭脳線をすることなく、身を挺して銃弾を防ぐとかしょうもない「頭」の使い方しかしていないし。
 ともあれ、もうそろそろ話を先に進めるときが来たのではなかろうか。