第七話「秘めやかなデュエット」

 前回で終わったと思ったらまだ続いていた合宿編。土浦、火原フラグを立てたのでは飽き足らず、水森ゲット作戦が残っていたのだった。
 彼女は水森くんの部屋の窓際と知って演奏していたに違いない。

 柚木のお兄さんは、新聞部の人の発言からするに、ちょっと前の「女郎婦」的な行動は天然ボケではなくて、実は腹黒ということなんでしょうか? 新聞部の人は立ち位置的に「マリみて」の写真部の人と同じ、冷静に物事が見えている(そして時には主人公に助言もできる)第三者的な役割っぽいので、おそらくその直感が外れることはないと思うのだが……。

 しかし、照れる水森くん、きみ陥落早すぎです。マザコンというか、日野さんと亡き母を重ね合わせて、みたいな噺家と思ってたが、お母さん生きてるみたいだし、しかもずいぶん健康的な仮定のようで、何故あのようなひねくれくんが育ったかが、次回あたりわかるのかな。いい人たち過ぎて、かえって重荷とか?
 その辺は次回待ちとして、今回の夕日の中でヴァイオリンを引く日野さんを捕らえたショットは、単純にきれいというだけでなく、水森くんのときめきメモリアルな心の揺れも表現できていていいシーンだった。

 間接キスでおたつく純情少年チーム(髪の毛の色が同系統なのは偶然なのか? 緑は純情なんて言葉があったかしら)はかわいい。もはや魔性の女のレベルであるかもしれない。大脳の活動能力が危険水域な彼も、徐々に懐柔されつつあるし。

 ただ、ハーレム作ってばかりでなくて、音楽に向き合うこと――それは突き詰めれば、自己表現のことである――について、主人公の考えが深まっていくところもいい。今はとりあえず、誰が弾くのか、誰の音楽か、というところだけど、おそらく最後のほうでは、技術面での底上げという基本的な問題にまで向かっていくと思われる――魔法に頼らず自分だけの力で(たとえひどくても)演奏する、というやつですね。これは黄金パターンでもあるので、その道のりは険しくないが、安直に流れずに一歩一歩進めていくのは、やっぱり簡単なことではないだろう。が、今のところはその試みは成功しているようである。ここのまま行くといいですね。