第一話

原作の井上三太松本大洋の従兄弟である、ということぐらいしか知識のない、ストリート系漫画のアニメ化。「1」もあったらしいがそちらは見ていない。冒頭で説明が皆無だったから、たぶんあまり関係ないのだろうと勝手に解釈する。

題材的には、正直なところ絵柄に興味はないし、ヒップホップはかじった程度の知識しかないし、ストリートファッションもそのライフスタイルにもとくに興味はない。つまり、限りなく及び出ない、世界のアニメなのだが、それでも期待度は高かった。というのも――未知の井上作品へのかすかな興味もあるにはあるけれど、やっぱり――監督が佐藤竜雄だからである。

 さて、それがどうだったかというと、冒頭の空から入って垂直に降りてくるカメラの動かし方にはじまって、断片的なせりふで全体を推測させたり、主人公の私物のカット等のディティールの描写へのこだわりと、徹底的にサトウタツオフィルムしていて、ファンとしてはうっとりするばかりなのだが、主人公の妙に無機質な感じする欠点までいままでどおりで、これは原作つきで少しは改善されるかと思ったら、そうでもなかったのだった。

 内容的には、ぎりぎりのバランスで均衡をたもっていたトライブと呼ばれる不良(死語?)グループが、勢力拡大を図るものの出現で血で血を洗う構想になっていく、という感じであるようだ。ここには椿三十郎も、コンチネンタル社のオプもいないので、おそらく大変なことになるだろう。あと主人公と敵のリーダーと龍香と呼ばれるヒロインの三角関係もありそう。うえだゆうじのやたらいい人なリーダーはいずれやられるキャラ(平和の象徴――すなわちその失脚は均衡が破れる発端)だよなあとか思ってみてたら、あっさり大怪我しているし。

 とまあ、ストーリーは今後も、きっとたぶんありきたりで、見せ場はおそらくスタイリッシュな画面(色彩が面白い)と絵がかれれる容赦のない暴力描写であるのだろう。この一話目からして、バットで撲殺、血まみれで電信柱からつるされる、そして、巨大な男(原作どおりなのかもしれないが、同じ佐藤作品である『獣兵衛忍風帖』の鬼門衆・闇泥を思わせるキャラだ)が少年を強姦してなぶり殺しにする、と遠慮容赦ない。十五禁になるわけである。

 さて、作品的に忘れちゃいけない、ヒップホップ関連だが、MUROの音楽はまだいまいちぴんとこない。少なくてもサムライチャンプルーのツッチー的なさえはまだ感じられないが、使い方にもよるのかもしれないので様子見というところ。OPはそこそこ。スチャダラパーのEDはかなりいい。