第五話

椒子さんが子供に戻ったことで、子供時代の失敗を(心理的に)やり直すことができた、という話

椒子さんに全面的にスポットが当たっている分、からだの話は停滞。まあ大人になりたかった子供の話より、いろいろ複雑な大人の話のほうが、話題には事欠かないし、作者的にも思い入れしやすいのではないかという気がするので、これはしょうがないだろう。

その椒子さんの話は催眠術で大人を子供時代に退行させて、トラウマを見つけ出し治療する、といったような、メンタルヘルス話をファンタジー的に表現したものという言い方も可能ですね。映像的には泥だらけになって帰宅する椒子さんの満足げな表情を捉えたカットが素晴らしい。

がしかし、がしかし、だ。
兄が出てくるとものすごい勢いで空気が悪くなりますな。せっかく演出も作画もがんばっているのに、台無しである。
たとえば、椒子には自分が待ちぼうけを食わせ、そのまま振った相手であるということの配慮すらないような発言の数々、挙句の果てには「お前も悪いじゃん」的な反論、最悪である。誰か願い石に兄の消滅を願ってくれないかと思う。それこそエロゲーのプレイヤーキャラのように顔を隠して、たまに眼が出るとなんかいやな目つきばかり、ってのもよろしくない。

それにしても、新キャラは椒子さんとの絡みが今後もつづくのだろうか。あるいは少年とからだと兄との関係をかき回す役割なのか。
次回あたりから、少年のお姉さんなんかも話に本格的にかかわってきそうだが、真相を知るものをへたに増やすと、それはひと夏の夢というよりただの現実の一現象になってしまうので、シナリオ的にはけっこう難しそうである。