第一話

 これは凄い! 嫌味なんかではなく、本当に凄い。のっけからキャラやシチュエーションの説明もせずに、ヒロインたちを繰り出して歌を歌わせるなんて、常人の考える構成ではない。それも二曲。しかもどっちも自殺のBGMに使えそうなぐらいにダウナー。
そういう歌をゾンビのようなうつろな表情で歌いながら、片手を前に出してじりじり前方ににじり寄っていくマイケルジャクソンとジャネットジャクソン並みに似ていない顔の十二人のアイドルたち。ついでにいうと、控え室にいる四人も、主人公の妹も、きっと同じ整形師にかかっているのである。

なんという奇観であろうか。

なかなかどうして奇才のなせる業である。最初にタイトルを見たとき『$(つまりお金だ)への愛』という意味に読んだりして、非常に申し訳なく思うところである。
六人目のメンバー(になる予定の)該当歌手の「歌うことが復讐」なんて宣言するシュールさも素敵過ぎる。彼女の声は音波兵器なにかなのだろう。
さて、その六人目を仲間に入れることと、主人公の妹の参入をめぐって次回以降話が展開するようだが、出来れば毎回コンサートシーンがほしいところである。一回ぐらい一話丸々コンサートをやったっていいのではなかろうか。

いやあ、次がたのしみたのしみ。