第四十八話「摩天楼オペラ」

最終決戦。
ちょっと前に島田荘司が『オペラ座の怪人』をモチーフに『摩天楼の怪人』というのを書いたわけで……いやまあ何の関係もないですが。

そして前回(そのもう一回前だったかな)に引き続き沖縄の友達登場。もっと前から話に絡めておけばよかったのに。
しかしだ、謎である。なんで全世界がディーヴァのリサイタルを楽しみにしているの? たとえばマリア・カラスのライブが世界中継されるとしたら、クラシックに興味がない人だってとりあえずみてみようとするかもしれない。でもぽっと出の歌手に世界が注目? 企業や国家がものすごい勢いでプロモーションして、「全世界待望」になっていく過程でも描写しておけば、敵の強大さが印象づけられてよかったのに。

赤い盾の人たちはあいかわらず馬鹿だ。コンサート妨害はディーヴァが歌いはじめてからとかありえないし、そもそもディーヴァが会場にくるのをのんびりみててどうするんだと思う。小夜の血を弾頭に詰めて狙撃するような発想は結局まとまらない駄目組織ということなのか。
小夜&ハジが間抜けなバトルしか出来ないのも、今にはじまったことじゃないが、大詰めなんだからもうすこしかっこよく激しくやってくれないのか。小夜の不調も眠るまいという努力が全然見えないから、悲壮感というより、ただやる気ないだけじゃんというふうにしか見えないし。ブレードランナーのルトガーハウアーみたいに手に釘を刺して、目前の機能停止から自分を奮い立たせるぐらいの気概を見せてほしかったところ。ハジもせっかくパワーアップした意味がなくてつまらない。

中田シュヴァリエの「動機」がどうにも抽象的で盛り上がらない。不老不死の存在に野望というのを持たせるのが難しいのはわかるが、「なんとなく面白そうだった」みたいなことをカッコつけていわれて、あまり楽しくないのだった。むしろプッツンしている藤原シュヴァリエ(先代ディーヴァのシュヴァリエ? あるいはもっと古い?)のほうがその行動原理を理解しやすいのだから、困ったものである。
それにしても、グラディエーターのテーマ(サントラの感想時にも書いたけど、ジマーのお墨付きなのかね)流れすぎ。いい曲でもいささかしつこい。
ちなみに、よく聴くと戦闘のテーマは禿山の一夜っぽい。終盤は火星のモチーフがありましたね。大盤振る舞いです。こんなところまで師匠の真似をしないでもいいのに。

ディーヴァの黒い七枚羽根の悪魔はルシファーのつもりなんだろうが、だからどうしたというか、服のセンス微妙すぎるというか。
それを傍観している小夜。ううむやる気ない。

ライス高官みたいなおばさんを翼手化するあたりは、大胆というか下品というか。
そして半端な「続く」。一年の積み重ねがまったくないようなこの無風感覚はなんなのだろう。
次回のタイトルはハガードから?