第二十三話

薫の造反とマンモス若本の暴走劇。

市民を守って戦ういぬかみ十人衆の矜持はいいし、なでしこの嘘をめぐって珍しくようこが頭を使っているのも悪くない。あの賢しい啓太が何で騙されるのかわからないといえばわからないが、たまには彼女にも腕力馬鹿ならぬ魔力馬鹿でない見せ場が必要だったということでしょう。
一方、薫のためにとあえて泥をかぶる道を選ぶなでしこの描写は浅い。どうにも図式的に過ぎて、決意自体がわざとらしく見えるのだ。

馨対啓太はそこそこ見られるが、数合打ち合ったのち、いきなり物分りがよくなって「いけよ」という啓太には、なにか考えがあったのだろうか? 下品設定意外は無敵に近いスペックのキャラっぽいので、「直感で」薫が悪くないとわかったみたいなことなんだろうが……

と、こう本筋を検討していくと、総じて、シナリオが弱いことがよくわかるのだけど、それ自体はこのシリーズは基本なのでいまさら言うほどのことでもない。ただ、シナリオの弱さを補う要素――そうすなわち活き活きとした(悪乗り、ともいう)変態描写――が決定的にかけているのだ。
 マンモスとか若本規夫とかは特に悪くないけど、目新しくもないし、シリアスパートに遠慮しているのか暴走度が低い。敵対するオトサンがキャラ的に詰まらないせいもある。オトサンもまた変態だったならまた話が違っただろうに。否、違いすぎて別アニメになっていたかもしれない。

次回は馨(と呼ばれていた、ないしそう見せかけていたもの、かも知れない)による真相告白大会。さて。
そういえば河童がまた出てきてたから、これは、これから河童が役に立つ、というサインなのかな。
 とりあえずこのまま普通のラブコメ伝奇ふうに終わって欲しくないものである。