第二十三話

最終決戦スタート。

ちょっとマトリックス第三部みたいだったりスターウォーズのデススター攻撃みたいだったりするがそれはいいとして、前回あたりで集合してきた皆さんの自己犠牲展開とかは、ただの捨て駒捨て駒的挙動をとっているようにしか見えないので(というか、まあ捨て駒だしね)、緊張感も悲壮感も昂揚感もあったものではない。絵的には派手なので、退屈はしないが、それだけなのだった。

そしてドラマ面でのクライマックスだったはずの「ナーガ」との対話のしょぼさにはがっかり。
演出面で半端にエヴァンゲリオン風だったりするのも寒々しいものがあるが――パクリというのではなく、いまだ心象風景ものというとあれをひきずってしまうというところが問題――、ナーガのこの手の話のお約束ともいえる進化至上主義に対するキョウの反論がつまらなすぎ。
人は――ひいては世界は――究極的にはデータの集合という決定打を敵が出してきたので、反駁が難しいのはわかるのだけども、序盤から長々とひっぱっておいて、俺は俺だとか、俺の魂が気にいらないとか、説得力というものがかけらもない「結論」を言い放って終わってしまうのでは、駄目である。デカルトが定番過ぎるとか言っていたキョウはどこに言ってしまったのだろう。

思い返せば、キョウは中盤で、デジタル世界でも「生きている」ことを実感してしまっているのである。それはキョウの「魂」が、むしろナーガの理論の正しさの証明した瞬間でも合ったはずなのだ。
それをただ、敵の頭がおかしいとか、見た目が悪いひとっぽい、といった生理感覚にのみ頼った描写で主人公の正当性を補強し、押し切ろうとするのは、お馬鹿ロボットバトルアニメならいいだろうが、一応SFアニメ風で通してきた作品でやるのは、アウトである。一話まるまる討論をするぐらいの勢いが欲しかった。

もっとも登場人物もスタッフも本質的なところを綿密に考えてない気がするので、長くやっても結果は変わらず、むしろこういうなかばギャグのようなチープなやりかたで逃げるのが、やはり最善手だったということになる可能性も無きにしも非ず、であるけれど。