第九話

 股旅シリーズがつづく。
 メインプロットの、千年間「期待されつつも咲くことをこらえた」花と、花が咲くことを期待し続けた少女、というのはよくみると、怪獣と子供の交流もののバリエーションなわけだけど、花の正体の引っ張り方のうまさ(感のいい人なら、いばらの異常行動で気づいたのかもしれないが)で、なかなかインパクトのある逆転劇になっていたと思う。猫のかけた液(魔道寄り?)で咲き誇ってしまうというあたりの帳尻合いかたも上手い。
 もっとも、お話全体で見ると盛り上げもいまいちで、いきなり村人が大量出現して、一致団結、火の点いた松明をもって巨大花に迫ったり、赤ずきんたちも気がついたら敵の前で待機していたりと適当もいいところで、素材の良さは良くてもそれを活かしきれず、という残念な結果に終わってしまった。