第七話「反逆のマルチアーノ」

 序盤のミスターの「まだ手はある」に子犬みたいに喜ぶ部下どもに幻滅。おまえらは自分の意思でミスターの部下をやっているんじゃないのか、と思う。「ロマンティックなエゴイスト」ならそれらしく部下も独立独歩をモットーに、自分の判断や考えを大事にしてほしい。
 
 肝心のミスターもだめすぎる。「何とかなる」じゃないだろうが、リーダー。ここはリーダーの楽観主義のアピールではなく、策士ぶりを見せるべきじゃないのか。今までも全然策士に見えてないし、もしかしてこのままずっと行き当たりばったりオヤジキャラでいくつもりなのか? 大塚明夫の声がないている。

 敵のマルチアーノもよくわからない。お金持ちがさらにお金がほしいだけ? ギルドはおろか司法、立法、社会すべてを敵に回してやりたいことがそれだけなのか? ミスターへの恨み骨髄とかならまだわかるんだが。ブルースのすべてが憎い(ないし横恋慕)とかにはぜんぜん見えないしなあ。

 このシリーズ要するにどのキャラも行動に感情の裏づけがないのである、ようするに。

 アンジェリカにしてからが、任務狂なのかミスター狂なのかよくわからないし(本人がわかってなくても、他所からはバレバレ、というのでもないし)。

 ハードボイルドってのは、「心情を描写しない」ことであって「心情がない」ことではないんだけどねえ。

 唯一、追っ手が家族のことをいわれて動揺するのは良かった。敵対する理由もあるってものである。ちょっとへっぽこだけど。