第六話……

 たけうちくんいいひとすぎ。
 あの気はつかえるが相手によっては気を遣うことをまったくしないお姉さんと、本質的に他人に興味がなく、どこまでも自分のなかで生きている矢野なんかと上手くやっていける人だけあるが、しかし、ある種聖職者のような気遣いの精神と物分りの良さ、そして誘導能力。
 主人公はある意味悪魔。もしかしてわかっていってるんじゃないかとすら思う。たけうちくんのせめてもの「ずっと見ていた」発言に気づかないのはまあしょうがないだろうが……。

 そして山本さんがらみでついにやってきた過去の一撃。
 矢野くんはどう見ても姉妹両方と関係――それも妹のほうともばっちりやってるくさい――があったわけで、そこを「秘密を無し」を自ら宣言してしまった矢野がどう説明するのか、というシリーズ最強のクリフハンガーで幕を閉じるのであった。

 しかし、七美の終盤の「追い込み」は将棋の筋のいい寄せのごとくに陰険かつ的確。矢野くんはあのほにゃららとした声に完全に油断してましたが、じつはけっこう策士なのかもしれない。